四国八十八か所の歩き遍路を結願してからちょうど一年が経ちました。
遍路から帰ってきてからは予想通りというか、やっぱりというか忙しく毎日は過ぎていきます。
転職活動、引っ越し、新しい仕事、新しい人間関係、新しい街、必死に環境に適応しようとして気が付けばもう一年。
よく『遍路に行って何か変わった?』、『ご利益あった?』と聞かれることがあります。
残念ですが、自分の中で劇的に人生観が変わったと言うことはありません。
相変わらず仕事は忙しいし、理不尽な目に合うこともしばしば、当然苦手な人の克服だって難しい。
悩みも不安も尽きず、悟りの境地には程遠い日々です。
でも日常の生活のふとした時に以前とは違う自分に気づくことがあります。
何というか、、
少しだけ優しくなりました。
少しだけ適当になりました。
少しだけ図太くなりました。
でも少しだけ涙もろくなりました。
そんな感じです。
時々、無性に四国に行きたくなる時があります。
俗に言う『お四国病』というやつで、四国の雄大な自然や地元の人の優しさが恋しくなり、何度でも四国を回りたくなってしまう症状のことです。
資本主義の世界では成長、競争が基本、そんな毎日を過ごしているとやっぱり時々息切れしてしまうことがあります。
そんな時また四国を回りたくなる、あの時の優しい気持ちや幸福感を思い出したくなります。
それでも、自分は四国には当分行くことはないでしょう。
四国で感じたあの時の気持ちは、きっと今の東京の暮らしでも感じ取ることが出来るはず。自分には見えていない、感じることができていないだけかもしれない。
日々の生活の中で少しでもそれを感じ取れるようになることが自分のこれからの修行なんだと思っています。
お大師様、時々見守っていてください。