遍路44日目、7時に宿を出て歩き出す。霊山寺へのお礼参りも後20km程度だ。お昼ごろには到着するだろう。
こののどかな景色も見納めになる。目で、耳で、呼吸で大きく味わいながら歩を進める。あの山の方角に遍路転がしの焼山寺がある。
徐々に見覚えのある景色が現れる。三番札所の金泉寺、二番札所の極楽寺の前を通り過ぎる。図らずとも初日に行ったお寺をまた最終日に巡っている。途中で団体の歩き遍路さんとすれ違う。恐らくバスツアーの遍路さんでこの辺りの札所は間隔が短いので歩いているのだろう。
なんかワイワイ楽しそうだ。お寺を歩いて巡る、それだけでも人によって見いだす価値は全く違う。仲間と楽しく歩く人、スポーツのように時間を競う人、ひたすら自分と向き合う人、観光目的の人、仏教の教えを学ぶ人、誰かのために祈る人、出会いを求める人。本当に十人十色なのだ。
そして懐かしい景色が見えてきた。一番札所、霊山寺だ。
40日前と何も変わらない景色だ。
マネキンの美女がまた迎えてくれた、ほんとはハグしたいぐらいなのだが流石にやめておいた。『ただいま。』
境内の景色を見ると『あれ、このお寺こんなに広かったっけ?』と思う。あの時はきっとそこまでの余裕がなかったのだろう。
そして本堂で最期のお経を読み上げる。この旅の総決算の般若心経、綺麗に丁寧に色々な思いを込めて読み上げる。
が、後から来た団体遍路さんたちが別のリズムで般若心経を合唱してくる。
ちょーw、マジ勘弁www
結果、心乱されまくりの間違えまくり。まだまだ修行が足りないと自分にがっかりするが、でもこんなもんなんだろう、これでいいのだ。
その後参拝者の夫婦に『お礼参りですか?』と声をかけられる。なんか結願した歩き遍路の人は(いい意味で?)汚いからすぐにわかるらしい。『きっと良いことありますよ。』と暖かい言葉を頂いた。
どれだけ杖がすり減ったかの図。
短い。。。本当にこの杖(お大師様)には助けられた、この旅のMVPだ。
そして近くのうどん屋で昼飯を食べ外に出ると霊山寺を打ち終えたばかりの遍路さんとすれ違う、装備からして歩き遍路の人だろう。
これから彼も山を登り、川を渡り、海を眺め、雨にうたれ、お接待に感謝する、そんな濃密な40日を過ごすのだろう。話しかけはしなかったが心の中でいってらっしゃいと見送った。
その後、電車に乗り徳島駅まで移動する。もうここからは公共交通機関を使い倒す、一歩たりとも歩いてたまるか!!目指すは高野山の奥の院、お大師様が入定している地だ。そこで御朱印をもらい納経帳は完成する。
徳島港から和歌山行きのフェリーに乗る、さよなら四国。
四国がどんどん遠くなる、あっちの方角は鶴林寺と太龍寺かなぁ~。
こうして40日あまりを過ごした四国を後にする。残るは高野山のみ、明日でこの旅も終わる。