遍路10日目、今日も室戸岬に向けて淡々と歩く日になる。不思議なもので昨日の夜は身体中が痛くてのたうち回っていてたが、朝起きると不思議とほとんど痛みもひいている。道中はほとんど昼を食べるような所がないようで、宿のおかみさんにお握りをもらい出発する。
歩き始めるとまたトンネルが来るが、もう何か慣れと諦めが相成りあんまり怖さを感じなくなった。
しばらく歩くと高知県にはいる。遍路では高知県のことを『修行の道場』と言うらしい。確かに 札所間の移動距離が長くきつそう。
海岸線沿いにヒタヒタと歩いていく。後ろを振り返ると徳島県が見える、やはり誰もいない。あの山の向こうから歩いてきた。
しばらく歩くと休憩所で外国人の遍路さん二人を見つける、イングランドから来ている人達で初めて見る顔だ。今まで話した外国人達は下手くそ同士の英語のためか、わりとコミニケーションがとれたが本場のイギリスの英語はかなり聞き取り難かった。しばらく一緒に歩く、会話が難しくても一人で歩くよりはずいぶん気が紛れる。
ただこの二人、歩くのがメチャクチャ早い。趣味で世界各国の山を登ってるらしく、こういう事が好きなようだ。とてもついていけないので先に行ってもらう。
初めて置いてきぼりをくらう、また淡々と歩く時間が始まる。20kmほど歩くと正午を過ぎていた。徐々にまた体中が痛くなり、日差しもきつくなる。日焼けが痛い。
15時を過ぎた頃、室戸岬がようやくはっきり見えるようになった。足の痛みも悪化し、ヨタヨタ歩きになっているが何とかなるだろう。
通しの歩き遍路は確かに辛いがやっぱり仕事の方が辛いと思う。遍路はどんなに遠くても一歩ずつ自分が歩きさえすれば目的地にたどり着ける。疲れたら休めばいい、スタート地点に戻されることもないし、嫌がる人を無理やり歩かせる事もない。全て自分次第だ。
目的地2km手前で今日の宿に到着する。もうヘロヘロのヨタヨタだ。高知に来れば鰹だろうと鰹のたたき丼を食べたが今一つだった。塩で味付けしてあったが、鰹はポン酢な気がする。
室戸岬への行程も九割方完了した、相変わらず体がバキバキだがまた明日の朝になったら回復しているだろう。
夜に外に出て周囲を散歩してみる。
波の音だけが響く世界、徳島の山の中で感じた夜の音とは別の世界が室戸では広がっていた。
歩行距離:41km
霊場:なし
宿:ホテル明星