ひふみのブログ

シンプルに生きる。

遍路5日目 雨が降ったら色即是空

遍路5日目、起きると小雨がパラパラと降っていた。予報通り今日は雨の遍路になります。

朝食を食べる時に宿の女将(お婆ちゃん)と話をしたが、この地域もかなり過疎が進んで若い人が全くいないと寂しそうに話をしていた。

確かに遍路以外でこの集落に来るような人はいないだろうし、自分がまた遍路で来るにしても何十年も先の話。その頃にはこの宿もここの集落自体も無くなってるのかもしれない。

宿を出発したあと集落内を歩いたがこんな人形がいたるところに立っている。

何も知らなければケタケタ笑いながらこの人形を見ていただろうが、お婆ちゃんの話を聞いたあとにこの人形を見ると少し寂しい気持ちになる。

集落を出て県道沿いを十三番札所、大日寺に向かってひたすら歩いていく、途中で雨足が強くなっていく。

どこかで一休みしたかったが、雨の中ベンチで休む訳にもいかず我慢して歩く。撥水加工と言われていたジャケットも結局びしょびしょになる。昨日の遍路転がしの影響か肩の筋肉痛がひどい、リュックをおろして休みたい。

やっとの思いで大きな木を見つけ、その下で雨宿りをしょうとリュックや菅笠を脱いで一休みするが、しばらくすると上からポトリ、ポトリと何か落ちてくる。地面を見るとたくさんの青虫が這っている。木に『お前は出ていけ』と言われているようで、追い出されるようにまた雨の中歩き始める。

歩道がないので目の前をトラックやダンプカーが凄いスピードで近くを通過する。風圧で菅笠が飛ばされるし、おまけに水溜まりの水を思い切りぶっかけてくる。

そんな昨日の山登りとは一味違うジワジワ来る陰湿な攻撃を受けながら10kmの道を黙々と歩く。

途中で遍路小屋を発見、ようやく一休みできる、助かった。

荷物をおろして水とチョコレートをいただく。ありがとうございます。

壁に『色即是空』という言葉が貼り付けられている。般若心経に出てくる言葉で全ての物事は移ろいゆくもので実体何てない、という意味だ。

この雨も長いスパンで見ればホンの一瞬のことに過ぎないのかもしれない。

そんな感じてようやく十三番札所、大日寺へ到着。

自転車のお遍路さんと出会う。歩く人、自転車の人、車の人、通し出回る人、区切り出回る人やり方は何でも許されるところもお遍路の良さ。

続いて十四番札所、常楽寺。ここには山門がなかった。

お大師様はいた。

おニャン子様もいた。

常楽寺を出る頃には雨は上がっていた。この日は近くに札所が集まっていたため、一気に回る。

十五番札所、国分寺

十六番札所、観音寺。

今日最後の目的地、井戸寺に向かう途中ですれ違った車からおばさんが降りて来てわざわざお接待をいただく。

トマトをプチプチ食べながら次を目指す、午前中の悲惨さが嘘のように今は気楽なもんだ。

十七番札所、井戸寺に到着。

寺の名前の由来の井戸、お大師様が堀当てたと言われている。

ここのお寺はご本尊を公開していて、一般の人も自由に見学できる。七仏薬師如来が本尊で実に優しい顔をしていた。

境内で82歳のお婆ちゃんからお接待をいただく、健康のために毎日参拝に来ているらしい。

こんな感じで午後はうって変わってイージーモードの遍路になった。でもこれもきっと長くは続かないだろう、苦しみも楽しみも色即是空

今日の宿は自分一人だけの宿泊だった。

夕食の時に宿のご主人と今後のルートについてアドバイスを受ける。このご主人もともともは埼玉県に住んでいたようだが、歩き遍路の魅力に見せられて埼玉から移住してきて遍路宿の経営を始めたとのこと。

ターゲットが歩き遍路になるため決して儲かってるとは言い難いだろうが、自分の人生を生きいる、自分のやりたい仕事をするを体現しておりこういう生き方もいいなと感じてしまった。

宿の部屋にもお遍路さんへのおもてなしや関係する本や資料がたくさんあり、歩き遍路への愛を感じる宿だった。

 


歩行距離:27km
霊場大日寺国分寺、観音寺、井戸寺
宿:歩き遍路宿びざん

肩痛い。