足尾探索前回の続きになります。
足尾の赤いダム
本山製錬所の見学を終えた後は再び通洞駅まで戻り、付近の山にある毒の赤いダムを見に行きます。
google mapからもその様子は見て取れるが本当に濁った茶色の様な外観をしていますね。これは一体何なのだろうか。
結論から言うと、このダムは簀子橋堆積場と言って例によって古河機械金属の私有地にあります。この施設は足尾銅山の選鉱・製錬工程で発生する鉱滓を沈殿させるためにあり、平たく言えば鉱毒を貯めておく所になります。
これもし決壊したら下流の通洞の街に相当な被害が及ぶのでは?と思ってしまいますがどうなんでしょう。
当然私有地のため直接アクセスすることはできませんが、隣の金龍山という山から堆積場の様子を覗き見ることが出来るようなので早速アタックしてみます。
簀子橋堆積場を眺める
通洞駅の隣にある蓮慶寺というお寺から登山道があり、ここからアプローチします。大体1時間ほどの行程だとか。
明日岩倉山の登山を予定していたので軽い準備運動的なノリで登り始めましたがいきなりの急登、ハイキングではなくがっつり山登りとなりました。
正直登山道の様なものは整備されていなくて微かに残る過去の登山者の足跡を追いかけながらの山行が続きます。
途中で大型の動物の糞が至る所に見られました。確かに人は殆ど来ることは無さそうな場所だし、既に野生動物の領域に入ってきているのかも。(これ鹿の糞ではないよね?だとしたら・・・)
ということで明日の登山でつける予定だった鈴をザックに着けて登山を継続。
途中で現れた謎のキャラクター、この山の信仰の対象だろうか?
登り始めて30分程度過ぎるとうっすらと堆積場が茂みの間から見えてきました。確かに茶色をしている。
その後は尾根沿いに歩いて行きますが、途中で岩場などもあり思いのほか大変な行程でした。ちょっと体力に自信がない人や登山しない人が軽いノリで行く場所ではないですね。
そして登り始めて一時間程度、ようやく簀子橋堆積場の全体が見える場所まで登ってきました。google map で見た通り毒々しい茶色をしておりかなりインパクトがある光景。
この堆積場で水と一緒に湧き出る有害な鉱毒を貯めているようで、鋼滓ダムと呼ばれています。毒物をダムに沈殿させて、上澄みの水だけ川に流すことで環境保全に努めているようですが、あの綺麗な渡良瀬川の水もここから流れ込んでいる水が含まれているのかと思うと何とも言えない気持ちになります。
ちなみに水を排水する仕組みはあるようなので少なくとも堤防が破壊されない限り(※)はこれらが溢れ出ることはないようです。
ちなみに役目を終えると堆積場は埋め立てられて終了のようですが、当然毒素はなくならずこの地に残り続けることになります。
※破壊されない限りとは書きましたが、実はこの近辺に同じような堆積場(源五郎沢堆積場)があるようで2011年の東日本大震災の時に一部土砂が崩壊し鉛が流出するなどの被害があったようです。
大きい地震が来れば簀子橋堆積場もどうなるかわかりません、教科書やニュースには載らない今見える産業廃棄物問題がここにはありました。
本日の宿泊地へ
さて、見るものも見たし日も傾きだしたので熊や猪に遭遇しないうちに、超速攻で下山を開始します。なんか明らかに鹿ではない大型動物の糞が随所にあり結構嫌な予感がしてましたが幸い無事下山することができました。
通洞駅まで行き、本日宿泊予定の旅館の送迎を待ち宿へ。
足尾の山奥へ連れていかれる。
思っていた通り宿泊客はおらず温泉が貸し切り状態でした。
庚申の湯と呼ばれていてヌルヌルの泉質でした。晩飯をいただき、明日の登山ルートを確認して川のせせらぎを聞きながら就寝。
そんな感じの初日でした。
明日は今日見て回った製錬所からの煙害を受けた山である中倉山に登り尾根を縦走する予定。
続く。